能に観る日本人力
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著者:梅若基徳、河野智聖
判型:四六判
頁数:240頁


能楽師の身体に
日本古来の身体文化の“粋”を観た!


混沌とした現代日本。
いまや見る影もなくなった伝統の身体操作を蘇らせることに、再生の鍵があるはずだ。
真の日本文化の探究者たる研究家がそのために見い出したのは、中世よりつづく伝統芸能“能”の身体操法だった──。
体運動研究家・河野智聖が、武術・整体の観点から能楽師・梅若基徳に聴く対談録。
失われた「日本人力」復活のために!


CONTENTS

序章 概説「日本人力」骨格から日本人が見えてきた(河野智聖)
 武術から整体へ、整体から文化へ
 「大なる和」の身体操作のエッセンスが活きている
 骨格を五つの腰椎で読む
 「日本人力」の復活の鍵を握る腰椎4番
 能により「日本人力」が蘇る
 「野性」と「文化」を併せ持つ日本の文化

第一章:対談 歴史の中の能
 出会うべくして能に出合った
 「標準語」としての能の役割
 能には流派が五つしかない
 原点に回帰する伝統の力
 現代人にも当てはまる『風姿花伝』の教え
 佇むだけの存在感
 リハーサルは1回きり、「気」で合わせる世界
 日本人が失ってしまった無意識の統合性・協調性
 いい能面は、生きている
 観客の想像力に委ねる

第二章:対談 能楽師の稽古の日々
 否定から始まる稽古
 技術は教えられても身にならない
 手探りで手に入れる「オリジナル」
 DNAに刻み込まれた「日本人力」
 座っているだけの役
 大人は理論的なことを納得させなければ、上達を止めてしまう
 一度、決めた方向性は、生涯にわたり貫き通す
 歳を重ねて、向上する力

第三章:対談 能の身体遣いを読む
 軸を立てる意識と、地からわき上がる力
 背骨を立てると呼吸が深くなる
 正座をして謡えば、声帯を痛めることはない!?
 謡いに要求されるのは、美声よりも場を圧倒する凄みある声
 名優は“背骨”で演技する
 軸を育てる能の座り方
 筋トレ・柔軟体操はしない
 骨盤から頭を揺らさない意識
 「月を指す」に秘められた内的感覚の制御
 整体の理想は、歪みのない骨盤に背骨を乗せること
 「日本人力」の共通原理

第四章:対談 創作舞台「天之岩戸」
 能・武術・ベリーダンスは、地に根付いた動作
 リハーサルが練習になってはいけない
 アレンジではなく、共有すること

第五章:対談 日本人力を、未来へ
 過去を大事にすることは、未来へ繋がる
 同じことを延々と続けてこそ、そのものの深さに出会える
 姿勢矯正は、体の中身から変えていくこと
 先祖から繋がる「なにか」を発揮させる


著者 ◎ 梅若基徳(うめわか もとのり)
室町時代より続く能の名門、梅若家に生まれる。3歳の時より舞台に上がり、父・基宜氏の指導のもと、子方(子役)として活躍。父の没後、梅若吉之丞に師事して、現在まで関西を中心に全国各地で数々の公演をこなす。また、海外公演にも多数参加し、日本の伝統芸能、能楽の普及、振興に尽力している。自身の研鑽および新たな観客層の開拓を意図した演能会「能を観る」を主催する他、2003年より毎年、文化庁委嘱の「阪神こども舞囃子教室」講師や「日本の音」(能楽、雅楽、邦楽、文楽を子供たちに体験させる)の講師も務める。観世流シテ方。梅基金主宰。重要無形文化財総合指定保持者。

著者 ◎ 河野智聖(こうの ちせい)
幼少時から剣道、空手、中国武術などの武道を学ぶ一方、操体法、野口整体などの身体調整法や修験道、古神道などに伝わる日本的身体操作、感覚技法を研究・実践。新たに心道(武術)・快氣法(運動)・動体学(身体理論)・チセット等を考案し、東京・大阪・名古屋の主要三都市を中心に幅広く活動する。自由人(ミュート)ネットワーク主宰。著書に『日本人力』(BABジャパン)、『生命力を高める身体操作術』(経済界)、『健康になる整体武術』(筑摩書房)など。


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